お化け屋敷の恐怖
お化け屋敷が怖いのはいつ、どんなお化けが、何処で出てくるのか判らないことです。さらに出口がどこにあるのか予測出来ないという恐怖も加わります。
最近の株式市場はお化け屋敷内の如し。トランプ氏が何を言うのか予測がつかず、発言内容が分かってもそれがどのように経済に影響を及ぼすのか判然としません。投資においては経済データや一国の政策が及ぼす影響を咀嚼しながら何を、いつ、どのくらい売買するかを決めるものですが、お化け屋敷市場ではそうした努力が徒労に終わるのでボラティリティー(価格変動の大きさ)が上昇することになります。
市場参加者がどのくらい恐怖にかられているのかを指数で示したものに恐怖とどん欲指数(Fear and Greed index CNN算出)があります。この指数は極度のどん欲(75~100)から極度の恐怖(0~25)まで貿易、財政の赤字25刻み5分割で示されています。ちなみに2月19日の数値は47で「中立」(neutral)を示していましたが2月26日には21の「極度の恐怖」(extreme fear)の状態に突入し、その後本日に至るまで「極度の恐怖」状況が続いています。
このような状況下、市場の動向予測はトランプ政権の発するシグナルの背景を考察することしかありません。その背景は貿易赤字と財政赤字をどのように黒字化するのかということであるように思えます。そのこと自体は一国にとって重要であり正面から取り組むべき課題です。
輸入品目に関税をかけ過剰な輸入を抑え込もうとしているのは貿易赤字を抑え込むためでしょう。また関税収入を増やすことは膨大な財政赤字を抑え込む助けにもなるというわけです。マスク氏が主導するDOGEは過剰な財政支出にメス(ナタ?)を入れ財政赤字を縮小させることが出来ると期待されてのものです。しかし今や36兆ドルにものぼる公的債務や2兆ドル近い財政赤字をこれら政策組み合わせで解決出来るでしょうか。効果より国家、国民に与える痛みが勝るのではないでしょうか。
先の第一次トランプ政権時(2017.1株式~2021.1)採られた政策は減税と財政支出の組み合わせでした。当時はこれ等が功を奏して株式市場は上昇しました。しかし今回と前回では経済社会状況が全く異なっています。一番の違いは一次と二次トランプ政権の間に起きたパンデミックによる経済社会変化です。
この時期コロナ禍対策として余儀なくされた財政支出により財政赤字は大幅に悪化。供給制約等から物価が急上昇、FRBは連続的利上げで臨みました。結果、パニックは収まりましたが副作用として過剰なマネーが市場に流れ込み株価がバブル的に押し上げられました。
このように異なる経済的背景下、関税政策を進めることは米国国内物価を押し上げインフレを助長するだけでなく景気後退を誘発することになります。また、さらに減税を行うとなれば財政支出の増大は避けられません。
トランプ政権が採用している政策と手法はスタグフレーション(景気後退とインフレの共存)に向かってしまう極めて危険な賭けのように思われます。お化け屋敷は遊園地の中だけに留めてほしいものです。
最近の株式市場はお化け屋敷内の如し。トランプ氏が何を言うのか予測がつかず、発言内容が分かってもそれがどのように経済に影響を及ぼすのか判然としません。投資においては経済データや一国の政策が及ぼす影響を咀嚼しながら何を、いつ、どのくらい売買するかを決めるものですが、お化け屋敷市場ではそうした努力が徒労に終わるのでボラティリティー(価格変動の大きさ)が上昇することになります。
市場参加者がどのくらい恐怖にかられているのかを指数で示したものに恐怖とどん欲指数(Fear and Greed index CNN算出)があります。この指数は極度のどん欲(75~100)から極度の恐怖(0~25)まで貿易、財政の赤字25刻み5分割で示されています。ちなみに2月19日の数値は47で「中立」(neutral)を示していましたが2月26日には21の「極度の恐怖」(extreme fear)の状態に突入し、その後本日に至るまで「極度の恐怖」状況が続いています。
このような状況下、市場の動向予測はトランプ政権の発するシグナルの背景を考察することしかありません。その背景は貿易赤字と財政赤字をどのように黒字化するのかということであるように思えます。そのこと自体は一国にとって重要であり正面から取り組むべき課題です。
輸入品目に関税をかけ過剰な輸入を抑え込もうとしているのは貿易赤字を抑え込むためでしょう。また関税収入を増やすことは膨大な財政赤字を抑え込む助けにもなるというわけです。マスク氏が主導するDOGEは過剰な財政支出にメス(ナタ?)を入れ財政赤字を縮小させることが出来ると期待されてのものです。しかし今や36兆ドルにものぼる公的債務や2兆ドル近い財政赤字をこれら政策組み合わせで解決出来るでしょうか。効果より国家、国民に与える痛みが勝るのではないでしょうか。
先の第一次トランプ政権時(2017.1株式~2021.1)採られた政策は減税と財政支出の組み合わせでした。当時はこれ等が功を奏して株式市場は上昇しました。しかし今回と前回では経済社会状況が全く異なっています。一番の違いは一次と二次トランプ政権の間に起きたパンデミックによる経済社会変化です。
この時期コロナ禍対策として余儀なくされた財政支出により財政赤字は大幅に悪化。供給制約等から物価が急上昇、FRBは連続的利上げで臨みました。結果、パニックは収まりましたが副作用として過剰なマネーが市場に流れ込み株価がバブル的に押し上げられました。
このように異なる経済的背景下、関税政策を進めることは米国国内物価を押し上げインフレを助長するだけでなく景気後退を誘発することになります。また、さらに減税を行うとなれば財政支出の増大は避けられません。
トランプ政権が採用している政策と手法はスタグフレーション(景気後退とインフレの共存)に向かってしまう極めて危険な賭けのように思われます。お化け屋敷は遊園地の中だけに留めてほしいものです。