日本経済を押し上げるNISA

24年日本経済は過去と決別して明るい未来に向けて動き出したようです。新NISAに多額の資金が入り日本人の投資マインドが変わるかもしれないというのが大きな要因です。1人につき1800万円の枠が与えられ、利益が出ても無税という大盤振る舞い。売却しても翌年には使った枠が回復するとなれば、投資で利益が出せている限り利益は全額投資家のものとなります。


昨今の急激な日経平均の上昇は海外投資家の買いが原因ともいわれていますが、なぜ外国人は2024年に入っていきなり買い始めたのでしょうか。過去にも日本の状況が大きく変わるという判断により日本に資金が流れ込んだことは何度かありました(アベノミクス等)。日本の個人金融資産は50%以上が預金に滞留しておりこれが日本の常識とみなされていたところ、新NISAの導入が日本人のマインドを変えるはずだ、というのが外国勢の判断だったのかもしれません。


2023年の経済財政白書によると、月の消費支出は株を持つ世帯の方がどの世帯でも増えているという結果が出ていました。特に50歳以上の世帯では35,000円の差が出たと報道されています。日本において消費はGDPの50%以上を占めるので、株式投資をする人が増え儲けを実感できれば消費が増加し経済を活性化させることにつながることでしょう。


賃金上昇と投資を比較した場合、どちらがより消費マインドが刺激されるでしょうか。人間の心理に基づくなら後者ということになるのではないでしょうか。給料が今までよりも増えた場合、上昇分の一部は貯蓄に向かうでしょうが株で儲かったからいざ貯蓄を、と考える人は多くないと思われます。たとえ売却して利益を出さなくとも、含み益が大きくなると消費マインドが刺激されるという資産効果が生まれてきます。


投資をする際リターンは多い方がよいので、投資信託など投資商品を選ぶ場合過去の利益率が高いものを探すかもしれません。但しこの数値は為替の影響が含まれていること、あくまでも過去のものであって、将来を約束するものではないことに注意が必要なのは言を俟ちません。


例えば昨年のS&P500の投資信託上昇率が前年比36%であったとした場合ドル高の影響を除くと23%上昇に過ぎないというようなものです。 また22年との比較では23%上昇であっても、21年比較ではマイナス1%というようなことが起きています。


22年のS&P500は米国の急激な利上げ継続により歴史的下落を経験しました。また日米の金利差が拡大するにつれ円安ドル高が一挙に進みました。投資はマクロ経済変動の影響を大きく受けるので指数に投資する場合には常に金利、政策、為替等に気を配る必要があります。


また海外投信が日本からの資金流出につながるからといって日本の投信の方が良いというわけでもありません。幸い23年は日本株の上昇率が22年比28%となり、上げ幅は1989年以来の大きさでした。米国S&P500の上昇率は24%だったので4%上回っていました。


どんな対象に投資をしようと、各人が利益をしっかり確保するマインドが広がれば金融資産への投資が消費を刺激し結果として日本経済にも大きく貢献することになるということです。