潮目の変わった11月
米国10年債の利回り上昇が10月の株式市場を揺さぶりました。利回り上昇はインフレに加え、米国債務が過去最高を更新したことによる財政赤字拡大が主たる原因と思われます。株式市場は利回り上昇に翻弄される形で下げ続けてきました。
ところが11月に入って政策金利追加利上げ観測が後退、一転して株価は上昇。さらに3日に発表された労働市場に関するデータが予想に反して弱含みであったことの影響も大きく出ました。これまで労働市場が好調という指標が続いたため利上げを止める段階ではないと判断されていたのが今回の発表でひっくり返った訳です。世界の株価は急反発、日経平均も一日で758円上昇しました。
続いて14日発表された米国消費者物価が予想に反して低かったことが再び株価上昇に拍車をかけました。ここまでの米国インフレ上昇懸念が逆回転を始めたと捉えられ、再び世界の株価を押し上げ、15日の日経平均は824円の爆上げです。11月に入っての株価上昇は市場の潮目変化を示唆しているのかもしれません。労働需要の過熱が収まり、インフレが収束してゆくなら実に喜ばしいことではあります。
しかしもし、今後逆に失業率が上昇を続けてゆくならどうなるでしょうか。利上げ停止が宣言され、やがて利下げという局面に入ってゆくことでしょう。さらにそう遠くない将来リセッションに入ってゆく可能性も否定できません。一番の懸念事項は世界貿易の大幅縮小。中国やロシアに対する輸出規制、ブロック経済化等により世界のGDPが最大7%下押しされると見込まれています。(IMF)
また中国の不動産バブル崩壊が同国の経済下落を煽っており、中国の国力低下は世界の消費や投資、貿易に少なからざる打撃となると思われます。今後どのような道筋を辿るのか心配はぬぐえません。
欧州はインフレと景気後退の共存であるスタグフレーションに突入しておりロシア、ウクライナの戦争等によるエネルギー危機の影響を今後もさらに受けざるを得ないでしょう。欧州の株価もこれらを織り込んで低調な水準にとどまっています。
日本は幸いにも金利は低位にコントロールされていますが、日銀の国債大量買いにより恣意的に押し下げられているところ大なので、インフレが安定的に2%を上回ったと判断されれば、金利引き上げに転換するのもそう遠い話ではなさそうです。
今のところ米国の好調が世界景気を支える格好になっていますが、米国も商業不動産の低迷、4,000万人ともいわれる大学の学生ローン返済の開始、クレジットローンの返済デフォルト等下押しのリスクが堆積しつつあります。
米国の長期金利利回りが下がると株価が上がるという図式が繰り返されてきましたが、もし利回りが継続して低下を続けるなら、経済好調の支えを失った世界経済は厳しい時代という逆の潮目に巻き込まれることになります。株高に浮かれてばかりいるわけにはいかないのであります。
ところが11月に入って政策金利追加利上げ観測が後退、一転して株価は上昇。さらに3日に発表された労働市場に関するデータが予想に反して弱含みであったことの影響も大きく出ました。これまで労働市場が好調という指標が続いたため利上げを止める段階ではないと判断されていたのが今回の発表でひっくり返った訳です。世界の株価は急反発、日経平均も一日で758円上昇しました。
続いて14日発表された米国消費者物価が予想に反して低かったことが再び株価上昇に拍車をかけました。ここまでの米国インフレ上昇懸念が逆回転を始めたと捉えられ、再び世界の株価を押し上げ、15日の日経平均は824円の爆上げです。11月に入っての株価上昇は市場の潮目変化を示唆しているのかもしれません。労働需要の過熱が収まり、インフレが収束してゆくなら実に喜ばしいことではあります。
しかしもし、今後逆に失業率が上昇を続けてゆくならどうなるでしょうか。利上げ停止が宣言され、やがて利下げという局面に入ってゆくことでしょう。さらにそう遠くない将来リセッションに入ってゆく可能性も否定できません。一番の懸念事項は世界貿易の大幅縮小。中国やロシアに対する輸出規制、ブロック経済化等により世界のGDPが最大7%下押しされると見込まれています。(IMF)
また中国の不動産バブル崩壊が同国の経済下落を煽っており、中国の国力低下は世界の消費や投資、貿易に少なからざる打撃となると思われます。今後どのような道筋を辿るのか心配はぬぐえません。
欧州はインフレと景気後退の共存であるスタグフレーションに突入しておりロシア、ウクライナの戦争等によるエネルギー危機の影響を今後もさらに受けざるを得ないでしょう。欧州の株価もこれらを織り込んで低調な水準にとどまっています。
日本は幸いにも金利は低位にコントロールされていますが、日銀の国債大量買いにより恣意的に押し下げられているところ大なので、インフレが安定的に2%を上回ったと判断されれば、金利引き上げに転換するのもそう遠い話ではなさそうです。
今のところ米国の好調が世界景気を支える格好になっていますが、米国も商業不動産の低迷、4,000万人ともいわれる大学の学生ローン返済の開始、クレジットローンの返済デフォルト等下押しのリスクが堆積しつつあります。
米国の長期金利利回りが下がると株価が上がるという図式が繰り返されてきましたが、もし利回りが継続して低下を続けるなら、経済好調の支えを失った世界経済は厳しい時代という逆の潮目に巻き込まれることになります。株高に浮かれてばかりいるわけにはいかないのであります。