BAD NEWS IS BAD NEWS
8月初旬、株式市場は大暴落の洗礼をうけました。5日の日経平均下落幅は1987年のブラック・マンデーを超えて史上最悪の下落です。ことの本質は米国の失業率が上昇し続けていることにあります。(3月3.8%→7月4.3%)
日本株の下落幅が大きかったのは円キャリートレードの巻き戻しと言われています。日銀の利上げに驚いた海外投資家が保有していた膨大な「円売り、日本株買い」ポジションの反対売買を迫られたということです。またオプションの売り手が無限大の損失を回避するため先物を売ったことが日本株の下落に拍車をかけたというのも事実と思われます。
しかし日米共に株価が下落したのは失業率の上昇と雇用統計の予想を上回る悪化というマクロ要因によるというべきでしょう。米国においてはこれまでBAD NEWS IS GOOD NEWSと言われていました。失業率上昇など通常ならBAD NESと考えられる出来事はインフレを抑え込むGOOD NEWSとみなされてきました。インフレが進んでしまうと金利を引き上げねばならず株式市場にとってはネガティブな要因と見なされてきたからです。
ところが8月2日に発表された失業率、雇用統計の悪化というニュースは一転、リセッションを示唆するBAD NEWSだと市場は感じ始めました。今回の株価下落は恐れるべき対象がインフレから景気後退に変わったことを示唆しているとみるのが自然ではないでしょうか。
今後FRBは景気後退を避けるべく政策金利の引き下げを加速すると思われます。これによりソフトランディングを実現できれば良いのですが、米国政治の先行きには黒い大きな雲が沸き上がってきつつあります。民主、共和両党がともに標ぼうしている減税政策、この政策の行く末に見えるインフレがそれです。ただでも大きな財政赤字を抱えている米国が減税を実行し続けるとなると多額の米国債券を発行せざるを得ません。金融市場はどこかで米国債の吸収を諦めることになるでしょう。
Black Monday当時前後、米国のインフレと政策金利の動きをみると今後起きてくるかも知れない出来事のシナリオのように見えます。85年のプラザ合意当時インフレ率は3.63%、政策金利は8.0%でした。翌86年インフレ率は1.94%、政策金利は年末6.0%と大幅に下がっています。ところが87年に入るとインフレ率は再び3.58%に上昇、政策金利も年末7.5%に。そして同年10月20日Black Monday発生。米国インフレ率はその後も上昇を続け90年には5.42%に達しました。
現在世界を取り巻く環境は不動産、貿易、地政学リスクなどに加えて過去最大の世界債務拡大(GDP比98.1% IIF公表)という
状況にあり米国選挙後にはこの数値はさらに悪化の道をたどると見込まれます。
大暴落は今回をもって終了ということにはならないと考えておいた方が良さそうです。
日本株の下落幅が大きかったのは円キャリートレードの巻き戻しと言われています。日銀の利上げに驚いた海外投資家が保有していた膨大な「円売り、日本株買い」ポジションの反対売買を迫られたということです。またオプションの売り手が無限大の損失を回避するため先物を売ったことが日本株の下落に拍車をかけたというのも事実と思われます。
しかし日米共に株価が下落したのは失業率の上昇と雇用統計の予想を上回る悪化というマクロ要因によるというべきでしょう。米国においてはこれまでBAD NEWS IS GOOD NEWSと言われていました。失業率上昇など通常ならBAD NESと考えられる出来事はインフレを抑え込むGOOD NEWSとみなされてきました。インフレが進んでしまうと金利を引き上げねばならず株式市場にとってはネガティブな要因と見なされてきたからです。
ところが8月2日に発表された失業率、雇用統計の悪化というニュースは一転、リセッションを示唆するBAD NEWSだと市場は感じ始めました。今回の株価下落は恐れるべき対象がインフレから景気後退に変わったことを示唆しているとみるのが自然ではないでしょうか。
今後FRBは景気後退を避けるべく政策金利の引き下げを加速すると思われます。これによりソフトランディングを実現できれば良いのですが、米国政治の先行きには黒い大きな雲が沸き上がってきつつあります。民主、共和両党がともに標ぼうしている減税政策、この政策の行く末に見えるインフレがそれです。ただでも大きな財政赤字を抱えている米国が減税を実行し続けるとなると多額の米国債券を発行せざるを得ません。金融市場はどこかで米国債の吸収を諦めることになるでしょう。
Black Monday当時前後、米国のインフレと政策金利の動きをみると今後起きてくるかも知れない出来事のシナリオのように見えます。85年のプラザ合意当時インフレ率は3.63%、政策金利は8.0%でした。翌86年インフレ率は1.94%、政策金利は年末6.0%と大幅に下がっています。ところが87年に入るとインフレ率は再び3.58%に上昇、政策金利も年末7.5%に。そして同年10月20日Black Monday発生。米国インフレ率はその後も上昇を続け90年には5.42%に達しました。
現在世界を取り巻く環境は不動産、貿易、地政学リスクなどに加えて過去最大の世界債務拡大(GDP比98.1% IIF公表)という
状況にあり米国選挙後にはこの数値はさらに悪化の道をたどると見込まれます。
大暴落は今回をもって終了ということにはならないと考えておいた方が良さそうです。