為替でワリを食う日本人

円安ドル高が様々な問題を提起しています。この連休、コロナ期のリベンジとして海外旅行を考えていた人々は旅費の高騰に驚いて行く先を変更した人も多かったことでしょう。このところの急激な円安にお得感を感じたのは海外からの観光客のみで、日本人旅行者は恨めし気に高い旅費を眺めていたはずです。


円安は輸入物価を押し上げるので、日常の買い物においても価格の高騰との闘いを余儀なくされます。物価以上に給料が上がらなかった人達はインフレに苦しめられ続けることになります。


国としても為替介入、口先介入などを通じて急激な円安を止めようと奮闘していますが問題の根本が日米金利差の大きさにあるので米国が金利を引き下げるか、日本が金利引き上げを行うかしなければ根本的解決にはつながりません。どちらも金利を変更するにはマクロ的経済状況の変化を待つしかないのでしょう。米国のインフレが収まるか、日本の経済が大きく上向いてくることを待つということです。


取りうる対策が限られているなかで、ドル売り円買いにつながる方法を考える必要があります。例えば日本企業が海外で保有しているドルを売って日本に還流させるなどです。殆どの場合日本企業は海外で稼いだドルを現地で投資に使ったり、運用したりしているので還流が起こりません。しかしそれ以外にも還流を妨げている理由があります。海外からの送金手数料がその一つです。


日本企業が海外で稼いだドルを日本国内に還流させるとドル売り円買いとなります。ところが海外で稼いだドルを日本に持ち込むと多額の手数料が発生します。送金手数料がもっと安ければ日本への送金により国内投資が増える可能性が高まるのではないでしょうか。海外に留保されている資金を日本にスムーズに還流させられれば円安ドル高の解消に貢献します。


日本のメガバンクは銀行間送金にスウィフトを使っており、複数の銀行を中継するので手数料は高額です。海外からの送金額の5%に加えて1$2円の為替手数料が課されることもあります。送金手数料がこれほど高額なら海外子会社の留保資金は現地で、ということにならざるを得ないでしょう。


最近では銀行以外の資金移動業者が増えておりこれを使うと送金時間や手数料は極めて有利になっています。現在は当該業者の認可や送金額に制限がかかっているため日本への送金が実施しにくいのが現状。認可の拡大や制限の縮小が円安問題の解決対策としてとりうる数少ない方法の一つとなるのではないでしょうか。