5月中旬、日経平均はついに3万円を超え上昇を続けています。(6月現在:33,500円超)日経平均の過去最高値はバブル期1989年12月29日に付けた38,915円ですが、今後日経平均は上昇を続けバブル期最高値を超えるのでしょうか。
1989年当時なぜこれほどの高値を付けることになったのか、また当時が現在と比較してどれほど異常な状況にあったのかを概観してみます。当時の経済状況について見てみると1980年から1990年までの10年間、日本経済は右肩上がりの好調を続けていたことがわかります。名目GDPの時系列データを見ると268.4兆円(1980年)→614.6兆円(1990年)と見事な右肩上がりです。
経済が好調であれば株価が上昇するのは理にかなったことですが、バブルを正当化するほどの理由にはなりません。ではバブルを引き起こしたのはなんだったのでしょうか。結論から言うと急激な金利の引き下げです。
1980年から1990年までの公定歩合(現在の政策金利)の時系列を見ると8.25%(1980年)→3.25%(1990年)と急激に下がっています。通常、経済が好調な時には金利を引き上げて過熱を防ぐのが常道ですが真逆となっています。バブルが起きるのは当然と言わざるをえないでしょう。
なぜこんな金利政策を採用したのか、ここに経済政策の難しさが垣間見えます。当時の日本は国内で製造する製品の優秀さに加え、円安の恩恵もあって貿易収支は(13.6兆円(1980年)→33.1兆円(1990年)と絶好調でした。ところが米国は大幅な貿易赤字に苦しんでおり日本を含む主要5か国に協調的ドル下げを要請。(1985年プラザ合意)これに応じた結果ドル円レートは1年で44%もの大幅下落(232円→154円)となりました。
この急激な円高に日本企業は大打撃を受けます。行き過ぎた円高を回避すべく政府、日銀は協調して公定歩合を大幅に引き下げ、その結果起きたのが壮大なバブルだったというわけです。日本はそのバブルの後遺症に20年以上も苦しむことになりました。
さて現在の株高はなぜ起きているのか、バブルではないのでしょうか。結論から言うと(このままGDFや消費者物価が上昇を続けるなら)バブルであると言えます。23年1~3月期の名目GDPは前期比1.7%(年率7.1%)、年率換算の実額570兆円と過去最高を更新と報道されています。一方政策金利は0%に止め置かれています。過去のバブルは金利下げ過ぎ、現在のバブルは金利の低すぎという共通項の上に成り立っています。
前回バブル時と同様に難しいのは政治的側面にあります。政策金利引き上げは、住宅ローンの借り手や企業の回復に打撃となるので負の影響を出来るだけ小さくしたいという配慮が働きます。完全に過去のデフレ状況から脱するまでは金利引き上げは避けたいという力学が働く限り、バブル発生と日経平均の上昇は進むのでしょう。
日経平均株価が過去のバブル時を超えるか否かは分かりませんが、日銀のスタンスが変更されない限り外人買いは止まらず上昇は続くと思われます。
(注:1980~1990の名目GDP、公定歩合、貿易収支の時系列データはChatGPTのアウトプットを利用しています。)