タコが上げたマーケット

2025年の株式市場は日米ともに急激な上昇となりました。トランプ政権は4月、全輸入品に10%の関税を課し加えて国別に税率を上乗せ。通常このような政策は世界の景気後退を招くので株価下落になりこそすれ、上昇することは無いはずです。実際、発表後の株価は大幅に下落しパニック売りを招き一日の下げ幅は歴代3位となりました。しかしその3日後には急激に上昇し歴代2位の上昇をみせました。


かくも激しい変動の理由は、あまりの株価下落に驚いた大統領が関税の 90 日間の一時停止を発表したからです。この事態の対処には財務長官ベッセント氏の影響が大きか ったと伝えられています。


トランプ大統領は世界を驚かすような政策を打ち出しますが、反応が大き過ぎるとすぐにひっこめるということで、TACO(Trump always chickens out トランプはいつでもビビってやめるとファイナンシャル・タイムスのコラムニストに揶揄されています。しかしなんと言われようと、あそこで急激な方向転換をしていなかったら昨年の株式市場は惨憺たる状況になっていたことは想像に難くありません


その後、一時 125%まで引き上げられた中国への関税も10%に変更されました。報復関税の応酬を経て11月に中国の打ち出したレアアース輸出規制にビビッて再び TACO が出たからですが、結果として世界経済の安定は保たれ株価も上昇しました。


トランプ政権が相互関税を導入したのは米国の貿易赤字への対策としてです。赤字額が増加の一途をたどっていたのでこれは国家の「非常事態」であると認定した訳です。米国憲法上関税を決定する権限があるのは議会であり、議会が 1977 年に制定した IEEPA(国際緊急経済権限法)によれば大統領が「国家非常事態」を宣言した場合に、同法に基づく経済措置を発動できることになっています。しかしそもそも貿易赤字拡大は「国家非常事態」なのでしょうか


大統領の権限等についての司法判断は米国連邦最高裁判所によってなされることになっています。下級裁判所の判断と異なり最終判断となるので政権敗訴となれば支払われた関税の還付が必要となります。これは米国財政に大きな影響を及ぼし株価への影響も避けられないと思われます。26 年の株式市場への大きな不安要因となりそうです。