インフレのちスタグフレーション?
久し振りに車に乗ってドライブと思い給油場所を探しました。スタンドの表示を見てガソリンはこんなに高かったかと驚愕。ハイオク/レギュラー/軽油がそれぞれ175/160/145円というのがどのスタンドもほぼ共通価格。少し前の価格と比べると、1ランク上がっている感じです。(ハイオク/レギュラー/軽油が160/145/130円だったような。)
原油価格が上昇しているので仕方のないことではありますが、最近はあらゆるものの価格が上昇し始めています。野菜、ガス、小麦、銅、半導体等。コロナからの経済回復が始まっているので、需要拡大が牽引する良いインフレなら理にかなっています。が、現状は供給不足により価格が上がる悪いインフレの側面が強くなっています。
供給不足の原因は、複合的です。コロナからの回復遅れによる新興国の生産低下、労働力不足による物資の輸送停滞、グリーンへの移行に伴う炭素エネルギーの供給低下等。コロナの影響が落ち着けば、実体経済は順調に元の世界に戻ってゆくだろうと期待していましたが、供給制約による価格上昇というのは意外でした。
景気が悪くなっているのに物価が上がるという現象はスタグフレーションと呼ばれ、1970年代オイルショックに見舞われた多くの先進国で起きています。こうなると金利の急上昇を政策金利で抑え込むことが困難となります。ただ、今のところ供給制約が解消すれば経済は回復してゆくと見込まれており、スタグフレーションは杞憂なのでしょう。
世界は新型コロナ対策で巨額の財政、金融対策を打ってきました。その結果、世界の債務残高はGDPの365%(2020年末.IIFデータ)に至る見通し。政府債務残高はGDP比98.9%、日本は同比率256.5%(2021年。IMF)となっています。
経済規模を超える政府債務残は市場に出回っているカネの量の大きさを表します。これが株を始めとする様々な資産価格を押し上げてきました。もし、なんらかの理由で物価が急激に上昇して政策金利を上げざるを得ない状況に立ち至った場合、膨大な債務の返済に支障をきたす企業や国が多く出てしまいます。
また、中国政府税収の50%超は不動産使用権の売却収入からと言われているので、不動産価格が下落すると経済低迷は避けられません。世界に波及すればスタグフレーションも現実化しそうです。インフレと共に、十分な注意を払いたいポイントです。