インフレがバブル崩壊を加速する
コロナ対策で多量のマネーを市場に注ぎ込んだ世界の中央銀行は資産バブルを想定していたはずです。従って、市場に溢れかえったマネーを急激に吸い上げることには慎重に、というのが一貫した方針でした。バブルを潰せば実体経済に重大な影響が及ぶからです。その後コロナ感染で工場が停止し供給が低下するなどした為、想定外のインフレが発生するに及び、金利の引き上げを早めるとの方針に変更しました。
ところが再び想定外の事態発生。ロシアのウクライナに侵攻により、世界はロシアへの制裁強化を選択せざるを得なくなりました。第三次世界大戦を避けるため取られた手段は経済制裁。ロシアの原油やガスの輸出を止めることがインフレを昂進させる副作用があることは承知の上での制裁です。ウクライナは小麦等農産物の生産で世界の需要の相当部分を賄っていますが、ロシアが黒海を封鎖して海上輸送を止めるという反撃に出ています。こうした様々な作用の結果、世界中で物資が不足、インフレが各国で問題となってきました。すでにいくつかの国では物価上昇を嫌気した反政府運動が広がっていると報じられています。
通常インフレ対策は政策金利の引き上げにより行われます。過去にも原油等の価格上昇によるインフレを鎮静化するため、各国で実施された対策です。今回もインフレだけが問題であるなら、金利引き上げが妥当。ところが資産バブルが収束していない状況で起きてしまったインフレなので、問題はより深刻化します。
収まっていないばかりか目いっぱい膨張したままの状況故、この状況で急激に金利を上げれば株、債券、不動産等の下落、企業倒産、その結果引き起こされる景気後退など、相当なショックを世界経済に与えることになると思われます。しかし逆にこれまでと同じペースでの金利引き上げに終始すればインフレは加速してしまいます。
FRBはインフレとバブルの両方に対処しなければならない難しい問題に直面しています。最近のFRBコメントによると、インフレ対策を優先させるべく金利引き上げ、金融引き締め(QT)にも5月には着手する方向とあります。QTにより中央銀行がコロナ対策で大量に買い込んだ長期国債等を売却することになるので債券価格は下落、債券利回りは上昇し金利上昇につながります。これはバブル崩壊の後押しを意味します。
最近になって世界経済へのリスク要因がもう一つ加わりました。中国の経済後退です。コロナ再拡大で人流を止めている結果、国内需要が減少し世界貿易も縮小。中国の経済はロシアの比ではないほど巨大であり、日本との経済的つながりも大きい。不動産価格下落問題も依然として解消されていないようなので中国のみならず世界への悪影響が懸念されます。
これまで、上記にあげたような出来事が1つでもあれば世界は揺れ、市場は大きく反応してきました。今回のように複合的な危機の連鎖はどのような結末をもたらすのでしょうか。
過去のショックの原因が比較的透明度の高いものであったことと比較すると、これまでの延長線といった楽観的予測に基づく行動は控えるべきと思います。幸いコロナに関しては危機が回避され、世界がコロナ前の日常を取り戻しつつあります。このトレンドを可能な限り、広く、長く、深く継続させることが当面の取りうる数少ない対策の一つではないでしょうか。
日本は諸外国に比べコロナから経済への移行が遅れ、未だに回復過程に入っているとはいいがたい状況にあります。米国のインフレへの対策転換は当然日本にも大きな影響を及ぼすことでしょう。従ってドラスティックな規制緩和を進めなければまずい事態に陥ることが憂慮されます。海外との人の往来を過度に制約する対策は早急に改める等、社会経済活動の後押しを強力に押し進める局面に来ているのではないでしょうか。
ところが再び想定外の事態発生。ロシアのウクライナに侵攻により、世界はロシアへの制裁強化を選択せざるを得なくなりました。第三次世界大戦を避けるため取られた手段は経済制裁。ロシアの原油やガスの輸出を止めることがインフレを昂進させる副作用があることは承知の上での制裁です。ウクライナは小麦等農産物の生産で世界の需要の相当部分を賄っていますが、ロシアが黒海を封鎖して海上輸送を止めるという反撃に出ています。こうした様々な作用の結果、世界中で物資が不足、インフレが各国で問題となってきました。すでにいくつかの国では物価上昇を嫌気した反政府運動が広がっていると報じられています。
通常インフレ対策は政策金利の引き上げにより行われます。過去にも原油等の価格上昇によるインフレを鎮静化するため、各国で実施された対策です。今回もインフレだけが問題であるなら、金利引き上げが妥当。ところが資産バブルが収束していない状況で起きてしまったインフレなので、問題はより深刻化します。
収まっていないばかりか目いっぱい膨張したままの状況故、この状況で急激に金利を上げれば株、債券、不動産等の下落、企業倒産、その結果引き起こされる景気後退など、相当なショックを世界経済に与えることになると思われます。しかし逆にこれまでと同じペースでの金利引き上げに終始すればインフレは加速してしまいます。
FRBはインフレとバブルの両方に対処しなければならない難しい問題に直面しています。最近のFRBコメントによると、インフレ対策を優先させるべく金利引き上げ、金融引き締め(QT)にも5月には着手する方向とあります。QTにより中央銀行がコロナ対策で大量に買い込んだ長期国債等を売却することになるので債券価格は下落、債券利回りは上昇し金利上昇につながります。これはバブル崩壊の後押しを意味します。
最近になって世界経済へのリスク要因がもう一つ加わりました。中国の経済後退です。コロナ再拡大で人流を止めている結果、国内需要が減少し世界貿易も縮小。中国の経済はロシアの比ではないほど巨大であり、日本との経済的つながりも大きい。不動産価格下落問題も依然として解消されていないようなので中国のみならず世界への悪影響が懸念されます。
これまで、上記にあげたような出来事が1つでもあれば世界は揺れ、市場は大きく反応してきました。今回のように複合的な危機の連鎖はどのような結末をもたらすのでしょうか。
過去のショックの原因が比較的透明度の高いものであったことと比較すると、これまでの延長線といった楽観的予測に基づく行動は控えるべきと思います。幸いコロナに関しては危機が回避され、世界がコロナ前の日常を取り戻しつつあります。このトレンドを可能な限り、広く、長く、深く継続させることが当面の取りうる数少ない対策の一つではないでしょうか。
日本は諸外国に比べコロナから経済への移行が遅れ、未だに回復過程に入っているとはいいがたい状況にあります。米国のインフレへの対策転換は当然日本にも大きな影響を及ぼすことでしょう。従ってドラスティックな規制緩和を進めなければまずい事態に陥ることが憂慮されます。海外との人の往来を過度に制約する対策は早急に改める等、社会経済活動の後押しを強力に押し進める局面に来ているのではないでしょうか。