別世界日本の根本問題
世界がインフレにおののき、さらに金利引き上げが銀行問題を引き起こしている昨今、まるで別世界の様相を呈している日本。米国の金利(政策金利)が5%を超えているのに日本の金利は0です。なんとか2%のインフレを実現したいと手を尽くしてきた日銀の苦労は諸外国から見ると贅沢な悩みに見えるかもしれません。生まれている差異は何によるのでしょうか。
根本原因は一言でいうと需要が供給を下回り続けてきたことです。そしてそれが30年近くにもわたって続いたのは①将来に対する不安が大きく②賃金が殆ど増えなかったこと。その結果日本全体の需要が増えず、経済成長率(GDP)が長い期間にわたって殆ど横ばいとなってしまったということでしょう。
ウソだと思うかもしれませんが、諸外国に比べて将来に対する不安が大きい理由の一つに日本人の気質があります。この気質の元となっている物質はセロトニントランスポーター遺伝子と呼ばれ、S型とL型に分かれています。このLが多いと安定感や幸福感が大きくなるという特性を持っています。日本人は欧米人に比べSが多いといわれており、その結果、将来に対する不安が大きくなることにつながっているようです。
例えば投資において恐怖と貪欲に打ち勝つことが成功のカギであると言われていますが、同物質の影響で恐怖が強いなら投資より安全な貯蓄を選好するという行動が日本で続いてきたことには納得がいきます。低い金利に甘んじて高い利回りを得られる投資という可能性を避けてきたことが消費需要にもブレーキをかけてきたという結果を生んでしまったのかもしれません。
賃金が増えない理由は2つ考えられます。三波春夫効果、労働契約法であります。前者において、お客様は神様なので原価が上がっても企業は販売価格になかなか転嫁できません。消費者も神様に向かって値段をあげるのはけしからんというマインドが強いので、企業は低い利益で耐えるべきだと考えがちです。それがやがて自分の首を絞めることになるのですが、神様である自分には関係のない話だと思い込んでいるように見えます。
日本の労働契約法ではレイオフに相当な理由が必要とされており、少し業績が悪化しそうというくらいで解雇することは違法となります。一方欧米では景気が悪化してくればすぐにレイオフが行われその結果企業業績は比較的早く回復します。業績が回復すれば競合との競争に勝つためにも賃金をあげるのが理にかなっているので国の全体的な景気も押し上げられるというわけです。
企業の立場から見れば景気変動に対してより柔軟な経営が行われるので利益を守りやすくなります。最近も米国の地銀問題で株価が大きく調整していたにもかかわらず、突如として株価が急騰したりしていました。理由の一つはGAFAMなどの決算発表。市場予想を超える良い決算であった為ですが、その背景には急激かつ大量の人員整理があったことが思い起こされます。
日本は解雇なしが前提であったので、企業利益を保持するには賃金を下げるしかありません。景気が回復してくれば再度雇用を増やして対処する欧米企業に対し、日本企業は変動を避けながら賃金を上げてゆくというスローペースの対応とならざるを得ません。失業はしないが、賃金は増えないということになると消費はなかなか盛り上がらない、というのがこれまでの姿でした。
しかし最も根本的な問題は、世界を変えてしまうような圧倒的ビジネスがなかなか生まれてこないことです。国や人種にかかわらず、人間であればどんな人でも使ってみたいと思うような財やサービス。こうしたものを生み出す力が出てこなかった理由は他にもあるでしょうが、教育の画一性が大きいと思われます。独創性や自由よりも規範や協調を重視することを、教育の目的としてきたことの弊害です。
生まれる子供の数が少なく、労働人口が減り続けていることが、日本の根本問題と言われていますが、これは結果(①②のような問題の)であって、原因ではないのではないでしょうか。安心して暮らせる社会実現と、アニマルスピリッツ(本能的欲求)の発揮を厭わない国民によって日本の根本問題は解消できるというのは夢物語にすぎないでしょうか。
根本原因は一言でいうと需要が供給を下回り続けてきたことです。そしてそれが30年近くにもわたって続いたのは①将来に対する不安が大きく②賃金が殆ど増えなかったこと。その結果日本全体の需要が増えず、経済成長率(GDP)が長い期間にわたって殆ど横ばいとなってしまったということでしょう。
ウソだと思うかもしれませんが、諸外国に比べて将来に対する不安が大きい理由の一つに日本人の気質があります。この気質の元となっている物質はセロトニントランスポーター遺伝子と呼ばれ、S型とL型に分かれています。このLが多いと安定感や幸福感が大きくなるという特性を持っています。日本人は欧米人に比べSが多いといわれており、その結果、将来に対する不安が大きくなることにつながっているようです。
例えば投資において恐怖と貪欲に打ち勝つことが成功のカギであると言われていますが、同物質の影響で恐怖が強いなら投資より安全な貯蓄を選好するという行動が日本で続いてきたことには納得がいきます。低い金利に甘んじて高い利回りを得られる投資という可能性を避けてきたことが消費需要にもブレーキをかけてきたという結果を生んでしまったのかもしれません。
賃金が増えない理由は2つ考えられます。三波春夫効果、労働契約法であります。前者において、お客様は神様なので原価が上がっても企業は販売価格になかなか転嫁できません。消費者も神様に向かって値段をあげるのはけしからんというマインドが強いので、企業は低い利益で耐えるべきだと考えがちです。それがやがて自分の首を絞めることになるのですが、神様である自分には関係のない話だと思い込んでいるように見えます。
日本の労働契約法ではレイオフに相当な理由が必要とされており、少し業績が悪化しそうというくらいで解雇することは違法となります。一方欧米では景気が悪化してくればすぐにレイオフが行われその結果企業業績は比較的早く回復します。業績が回復すれば競合との競争に勝つためにも賃金をあげるのが理にかなっているので国の全体的な景気も押し上げられるというわけです。
企業の立場から見れば景気変動に対してより柔軟な経営が行われるので利益を守りやすくなります。最近も米国の地銀問題で株価が大きく調整していたにもかかわらず、突如として株価が急騰したりしていました。理由の一つはGAFAMなどの決算発表。市場予想を超える良い決算であった為ですが、その背景には急激かつ大量の人員整理があったことが思い起こされます。
日本は解雇なしが前提であったので、企業利益を保持するには賃金を下げるしかありません。景気が回復してくれば再度雇用を増やして対処する欧米企業に対し、日本企業は変動を避けながら賃金を上げてゆくというスローペースの対応とならざるを得ません。失業はしないが、賃金は増えないということになると消費はなかなか盛り上がらない、というのがこれまでの姿でした。
しかし最も根本的な問題は、世界を変えてしまうような圧倒的ビジネスがなかなか生まれてこないことです。国や人種にかかわらず、人間であればどんな人でも使ってみたいと思うような財やサービス。こうしたものを生み出す力が出てこなかった理由は他にもあるでしょうが、教育の画一性が大きいと思われます。独創性や自由よりも規範や協調を重視することを、教育の目的としてきたことの弊害です。
生まれる子供の数が少なく、労働人口が減り続けていることが、日本の根本問題と言われていますが、これは結果(①②のような問題の)であって、原因ではないのではないでしょうか。安心して暮らせる社会実現と、アニマルスピリッツ(本能的欲求)の発揮を厭わない国民によって日本の根本問題は解消できるというのは夢物語にすぎないでしょうか。