ベータコンサルティングとは
運用と経営はコインの表裏、努力が報われる為にはチャンスとリスクにどのように取り組むかが共通の課題となります。
我々を取り巻く経済環境は極めて振れ幅の大きなものとなっており、
また企業の提供する製品やサービスは気が付くと過去のものという変化の激しい時代に直面しています。
当社事業分野は資金運用と経営の戦略に特化したコンサルティングです。外部経済環境変化というマクロトレンドを重視し、
非上場企業の利益向上を支援します。
ベータとは個別証券の値動きが証券市場全体(日経平均等)の動きに対してどの程度敏感に反応するかを示す数値です。
例えば、ある銘柄のβ値が1.2なら、日経平均が5%上昇するとその銘柄は6%上昇することを意味します。
市場全体を表すマクロ変動とその環境下で個別企業がどのように動くのか、
両者の関係性にウエイトを置くという立ち位置を表すためβ(ベータ)をロゴとしています。
ブログblog
2025.07.03
驚きのマカオ
まもなく参院選が始まります。各党の論点の中心は給付金。これを消費税で行うか、定額給付で行うかということであります。インフレで生活が圧迫されているので、国民の一番の関心事は政治がこの問題にどのように向き合ってくれるのかということになります。
今後インフレが年々高まっていくなら、できるだけ効果の高い生活支援対策を講じてほしい。そうした多数の願望に答えて国民の評価を勝ち取るかが争点と考えているのでしょう。その対策の1つとして消費税率の引き下げが各党から出ています。
この主張の問題点は財源です。我が国の債務残高はGDP比2.5倍に達しており支出の多くを国債発行に依存しています。
過度の国債依存は金利の上昇を招きますが、それは日本や国民の重大な損失につながります。金利の急激な上昇がいつ起きるか誰にも判らないところに問題の恐ろしさがあります。
短期的にはそんなことは起きないだろうということで、赤字国債はここまで膨張してきました。確かに今までのところ何も起きていません。今回も大丈夫だろうということで、候補者は国民の期待に寄り添った政策を打ち出して国会の議席を狙いにゆきます。しかし、これにより財政破綻が現実のものとなった時、ワリを食うのは国民です。国会の椅子を勝ち取った議員は国民の支持を得て実行しただけなので責任を問われることはありません。
世界を見渡すとこうした不安とは無縁の場所があります。例えばマカオ。この国(特別行政区)において消費税は0です。何を買おうが、食べようが、どんな高級なホテルに宿泊しようが消費税が課されることはありません。旅行者だけでなく、住民も同様。さらに住民は医療費(12歳以下と65歳以上)や学費(幼稚園から高校までの15年)も無料という住みやすさです。
これを可能ならしめているのがカジノを含むIR(統合型リゾート)からの収入です。カジノ総収入の35%が税金として徴収され、それがマカオ政府歳入の80%をしめています。これにより社会インフラ、社会福祉向上(教育、医療、住民への給付)が実現されています。
国民の負担を軽減し、同時に国の財源不足の心配をも払拭するということが見事に実現されています。国民や企業から徴収する税金をもって足らざるところを埋めるということだけをやっている限り、国も国民も不安から逃れることはできません。
国や自治体は、いかにして独自収益を確保するのかという方向に頭を切り替えるべきではないでしょうか。マカオのIRは大いに参考になると思います。
今後インフレが年々高まっていくなら、できるだけ効果の高い生活支援対策を講じてほしい。そうした多数の願望に答えて国民の評価を勝ち取るかが争点と考えているのでしょう。その対策の1つとして消費税率の引き下げが各党から出ています。
この主張の問題点は財源です。我が国の債務残高はGDP比2.5倍に達しており支出の多くを国債発行に依存しています。
過度の国債依存は金利の上昇を招きますが、それは日本や国民の重大な損失につながります。金利の急激な上昇がいつ起きるか誰にも判らないところに問題の恐ろしさがあります。
短期的にはそんなことは起きないだろうということで、赤字国債はここまで膨張してきました。確かに今までのところ何も起きていません。今回も大丈夫だろうということで、候補者は国民の期待に寄り添った政策を打ち出して国会の議席を狙いにゆきます。しかし、これにより財政破綻が現実のものとなった時、ワリを食うのは国民です。国会の椅子を勝ち取った議員は国民の支持を得て実行しただけなので責任を問われることはありません。
世界を見渡すとこうした不安とは無縁の場所があります。例えばマカオ。この国(特別行政区)において消費税は0です。何を買おうが、食べようが、どんな高級なホテルに宿泊しようが消費税が課されることはありません。旅行者だけでなく、住民も同様。さらに住民は医療費(12歳以下と65歳以上)や学費(幼稚園から高校までの15年)も無料という住みやすさです。
これを可能ならしめているのがカジノを含むIR(統合型リゾート)からの収入です。カジノ総収入の35%が税金として徴収され、それがマカオ政府歳入の80%をしめています。これにより社会インフラ、社会福祉向上(教育、医療、住民への給付)が実現されています。
国民の負担を軽減し、同時に国の財源不足の心配をも払拭するということが見事に実現されています。国民や企業から徴収する税金をもって足らざるところを埋めるということだけをやっている限り、国も国民も不安から逃れることはできません。
国や自治体は、いかにして独自収益を確保するのかという方向に頭を切り替えるべきではないでしょうか。マカオのIRは大いに参考になると思います。
2025.03.16
お化け屋敷の恐怖
お化け屋敷が怖いのはいつ、どんなお化けが、何処で出てくるのか判らないことです。さらに出口がどこにあるのか予測出来ないという恐怖も加わります。
最近の株式市場はお化け屋敷内の如し。トランプ氏が何を言うのか予測がつかず、発言内容が分かってもそれがどのように経済に影響を及ぼすのか判然としません。投資においては経済データや一国の政策が及ぼす影響を咀嚼しながら何を、いつ、どのくらい売買するかを決めるものですが、お化け屋敷市場ではそうした努力が徒労に終わるのでボラティリティー(価格変動の大きさ)が上昇することになります。
市場参加者がどのくらい恐怖にかられているのかを指数で示したものに恐怖とどん欲指数(Fear and Greed index CNN算出)があります。この指数は極度のどん欲(75~100)から極度の恐怖(0~25)まで貿易、財政の赤字25刻み5分割で示されています。ちなみに2月19日の数値は47で「中立」(neutral)を示していましたが2月26日には21の「極度の恐怖」(extreme fear)の状態に突入し、その後本日に至るまで「極度の恐怖」状況が続いています。
このような状況下、市場の動向予測はトランプ政権の発するシグナルの背景を考察することしかありません。その背景は貿易赤字と財政赤字をどのように黒字化するのかということであるように思えます。そのこと自体は一国にとって重要であり正面から取り組むべき課題です。
輸入品目に関税をかけ過剰な輸入を抑え込もうとしているのは貿易赤字を抑え込むためでしょう。また関税収入を増やすことは膨大な財政赤字を抑え込む助けにもなるというわけです。マスク氏が主導するDOGEは過剰な財政支出にメス(ナタ?)を入れ財政赤字を縮小させることが出来ると期待されてのものです。しかし今や36兆ドルにものぼる公的債務や2兆ドル近い財政赤字をこれら政策組み合わせで解決出来るでしょうか。効果より国家、国民に与える痛みが勝るのではないでしょうか。
先の第一次トランプ政権時(2017.1株式~2021.1)採られた政策は減税と財政支出の組み合わせでした。当時はこれ等が功を奏して株式市場は上昇しました。しかし今回と前回では経済社会状況が全く異なっています。一番の違いは一次と二次トランプ政権の間に起きたパンデミックによる経済社会変化です。
この時期コロナ禍対策として余儀なくされた財政支出により財政赤字は大幅に悪化。供給制約等から物価が急上昇、FRBは連続的利上げで臨みました。結果、パニックは収まりましたが副作用として過剰なマネーが市場に流れ込み株価がバブル的に押し上げられました。
このように異なる経済的背景下、関税政策を進めることは米国国内物価を押し上げインフレを助長するだけでなく景気後退を誘発することになります。また、さらに減税を行うとなれば財政支出の増大は避けられません。
トランプ政権が採用している政策と手法はスタグフレーション(景気後退とインフレの共存)に向かってしまう極めて危険な賭けのように思われます。お化け屋敷は遊園地の中だけに留めてほしいものです。
最近の株式市場はお化け屋敷内の如し。トランプ氏が何を言うのか予測がつかず、発言内容が分かってもそれがどのように経済に影響を及ぼすのか判然としません。投資においては経済データや一国の政策が及ぼす影響を咀嚼しながら何を、いつ、どのくらい売買するかを決めるものですが、お化け屋敷市場ではそうした努力が徒労に終わるのでボラティリティー(価格変動の大きさ)が上昇することになります。
市場参加者がどのくらい恐怖にかられているのかを指数で示したものに恐怖とどん欲指数(Fear and Greed index CNN算出)があります。この指数は極度のどん欲(75~100)から極度の恐怖(0~25)まで貿易、財政の赤字25刻み5分割で示されています。ちなみに2月19日の数値は47で「中立」(neutral)を示していましたが2月26日には21の「極度の恐怖」(extreme fear)の状態に突入し、その後本日に至るまで「極度の恐怖」状況が続いています。
このような状況下、市場の動向予測はトランプ政権の発するシグナルの背景を考察することしかありません。その背景は貿易赤字と財政赤字をどのように黒字化するのかということであるように思えます。そのこと自体は一国にとって重要であり正面から取り組むべき課題です。
輸入品目に関税をかけ過剰な輸入を抑え込もうとしているのは貿易赤字を抑え込むためでしょう。また関税収入を増やすことは膨大な財政赤字を抑え込む助けにもなるというわけです。マスク氏が主導するDOGEは過剰な財政支出にメス(ナタ?)を入れ財政赤字を縮小させることが出来ると期待されてのものです。しかし今や36兆ドルにものぼる公的債務や2兆ドル近い財政赤字をこれら政策組み合わせで解決出来るでしょうか。効果より国家、国民に与える痛みが勝るのではないでしょうか。
先の第一次トランプ政権時(2017.1株式~2021.1)採られた政策は減税と財政支出の組み合わせでした。当時はこれ等が功を奏して株式市場は上昇しました。しかし今回と前回では経済社会状況が全く異なっています。一番の違いは一次と二次トランプ政権の間に起きたパンデミックによる経済社会変化です。
この時期コロナ禍対策として余儀なくされた財政支出により財政赤字は大幅に悪化。供給制約等から物価が急上昇、FRBは連続的利上げで臨みました。結果、パニックは収まりましたが副作用として過剰なマネーが市場に流れ込み株価がバブル的に押し上げられました。
このように異なる経済的背景下、関税政策を進めることは米国国内物価を押し上げインフレを助長するだけでなく景気後退を誘発することになります。また、さらに減税を行うとなれば財政支出の増大は避けられません。
トランプ政権が採用している政策と手法はスタグフレーション(景気後退とインフレの共存)に向かってしまう極めて危険な賭けのように思われます。お化け屋敷は遊園地の中だけに留めてほしいものです。
2025.01.13
会社立ち上げの理由
2024年新NISAが始まり、日本人の投資行動が変わりはじめました。
昨年1年間、株や投資信託に個人が投資した金額は1~11月で約12兆円と報じられています。売却益や配当に大判振舞の税制が導入されたのが理由と思われます。
不思議なことにアベノミクスが始まった13~14年ではほぼ同額、12兆円の売り越しとなっています。アベノミクスは三本の矢によって日本の経済に刺激を与えデフレからの脱却を目指した政策でした。結果として政策は効果を表し株価は大きく上昇するきっかけとなったにもかかわらず、個人は大幅に売り越しました
バブル崩壊以降、株式投資といえば損失という体験が染みついてしまった日本人は少しでも回復したら売って損失を抑えようとしたのかもしれません。しかし同時期(13~14年)外人投資家は16兆円を買い越しています。海外勢はアベノミクスの政策によって日本は成長を遂げるはずと考え積極的に買いに入ったということでしょう。
これは自慢ですが、わがβコンサルティング(株)も2013年に会社設立、法人として株式市場に参入しました。外国勢同様、チャンス到来と判断したからです。判断の理由は3本の矢がGDPの主たる構成要素の個人消費、企業、財政投資、貿易収支に有効に働きかけるはずと考えたからでした。(詳細はHPブログの2015.2.9 「潮目の変化の読み方」をご覧ください)
次期米財務長官に任命されたスコット・ベッセント氏はヘッジファンドのCEOですが、トランプ政権にウオール街の見識を持ち込むことを期待されて就任することになりました。氏は元安倍首相の三本の矢に倣った経済政策をトランプ氏に助言したと報じられています。(ウオールストリート・ジャーナル)また2013年には三本の矢政策をみて日本市場に参入し大きく儲けたと語っています。
本年2025年はいよいよトランプ政権が始動します。1月20日の正式開始に先駆けて様々な言動が世の中を騒がせています。米国の政策は日本一国のそれとは比較にならないほど大きなインパクトを世界に与えます。打ち出す政策がどのような影響を与えるのか、これまで以上にしっかりと目を見据えていく必要がありそうです。
昨年1年間、株や投資信託に個人が投資した金額は1~11月で約12兆円と報じられています。売却益や配当に大判振舞の税制が導入されたのが理由と思われます。
不思議なことにアベノミクスが始まった13~14年ではほぼ同額、12兆円の売り越しとなっています。アベノミクスは三本の矢によって日本の経済に刺激を与えデフレからの脱却を目指した政策でした。結果として政策は効果を表し株価は大きく上昇するきっかけとなったにもかかわらず、個人は大幅に売り越しました
バブル崩壊以降、株式投資といえば損失という体験が染みついてしまった日本人は少しでも回復したら売って損失を抑えようとしたのかもしれません。しかし同時期(13~14年)外人投資家は16兆円を買い越しています。海外勢はアベノミクスの政策によって日本は成長を遂げるはずと考え積極的に買いに入ったということでしょう。
これは自慢ですが、わがβコンサルティング(株)も2013年に会社設立、法人として株式市場に参入しました。外国勢同様、チャンス到来と判断したからです。判断の理由は3本の矢がGDPの主たる構成要素の個人消費、企業、財政投資、貿易収支に有効に働きかけるはずと考えたからでした。(詳細はHPブログの2015.2.9 「潮目の変化の読み方」をご覧ください)
次期米財務長官に任命されたスコット・ベッセント氏はヘッジファンドのCEOですが、トランプ政権にウオール街の見識を持ち込むことを期待されて就任することになりました。氏は元安倍首相の三本の矢に倣った経済政策をトランプ氏に助言したと報じられています。(ウオールストリート・ジャーナル)また2013年には三本の矢政策をみて日本市場に参入し大きく儲けたと語っています。
本年2025年はいよいよトランプ政権が始動します。1月20日の正式開始に先駆けて様々な言動が世の中を騒がせています。米国の政策は日本一国のそれとは比較にならないほど大きなインパクトを世界に与えます。打ち出す政策がどのような影響を与えるのか、これまで以上にしっかりと目を見据えていく必要がありそうです。
2024.11.25
持続的な悲惨ゴールに向かう世界
米国大統領選挙後、株式市場は勢いよく上昇しましたが長くは続かず下落から横ばいが続いています。原因は米国債の利回りの上昇。トランプ氏の施策が実現のものとなりつつあることで、市場はインフレリスクを警戒しており、これが債券利回りを押し上げています。
トランプ氏が選挙中から主張していた減税、関税引き上げ、移民抑制策はすべからくインフレにつながるもの。米国財政は悪化の一途をたどっているのに、今後さらに国債を発行することになれば利回りが上昇するのは自明の理です。また関税引き上げにより米国内への生産回帰を目指す自国第一主義を追求すれば米国のみならず世界にインフレと景気悪化をばらまくことになります。移民抑制策は労働力低下によるインフレの原因となります。
米国債利回り上昇は日米金利差拡大を通じて円安ドル高をもたらします。トランプ氏はドル安にすべきと主張していますが、実際は円安ドル高と反対方向にむかっています。IIF(国際金融協会)は世界の政府債務は2030年末にはコロナ禍前の3倍に膨らむと予測。新型コロナ対策として世界各国がカネをばらまいたからですが、これに加えて米国第一主義の施策分が加わるなら貨幣の価値は下落を免れません。
さすがにこれはまずいと考えたのか、イーロン.マスク氏にDCGE(政府効率化省)を主導させ歳出削減により過剰支出を終わらせるとの方針を打ち出しています。しかしマスク氏は
いくつもの企業CEOであり自社の利益と、米国民の利益との利益相反問題をどのように回避できるのでしょうか。
選挙に勝つために国民が望む目先の利益を提供するポピュリズム。長期的安寧よりも自分の利益、これは将来の世代につけが回ることを意味します。SDG(Sustainable Development Goals )のDが「発展」ではなく「悲惨な」(Disastrous)を意味する世界に向かうとするなら、我々は何をしておけばよいのでしょうか。今後の米国政策の行方をしっかりフォローしてゆく必要がありそうです。
トランプ氏が選挙中から主張していた減税、関税引き上げ、移民抑制策はすべからくインフレにつながるもの。米国財政は悪化の一途をたどっているのに、今後さらに国債を発行することになれば利回りが上昇するのは自明の理です。また関税引き上げにより米国内への生産回帰を目指す自国第一主義を追求すれば米国のみならず世界にインフレと景気悪化をばらまくことになります。移民抑制策は労働力低下によるインフレの原因となります。
米国債利回り上昇は日米金利差拡大を通じて円安ドル高をもたらします。トランプ氏はドル安にすべきと主張していますが、実際は円安ドル高と反対方向にむかっています。IIF(国際金融協会)は世界の政府債務は2030年末にはコロナ禍前の3倍に膨らむと予測。新型コロナ対策として世界各国がカネをばらまいたからですが、これに加えて米国第一主義の施策分が加わるなら貨幣の価値は下落を免れません。
さすがにこれはまずいと考えたのか、イーロン.マスク氏にDCGE(政府効率化省)を主導させ歳出削減により過剰支出を終わらせるとの方針を打ち出しています。しかしマスク氏は
いくつもの企業CEOであり自社の利益と、米国民の利益との利益相反問題をどのように回避できるのでしょうか。
選挙に勝つために国民が望む目先の利益を提供するポピュリズム。長期的安寧よりも自分の利益、これは将来の世代につけが回ることを意味します。SDG(Sustainable Development Goals )のDが「発展」ではなく「悲惨な」(Disastrous)を意味する世界に向かうとするなら、我々は何をしておけばよいのでしょうか。今後の米国政策の行方をしっかりフォローしてゆく必要がありそうです。
2024.08.15
BAD NEWS IS BAD NEWS
8月初旬、株式市場は大暴落の洗礼をうけました。5日の日経平均下落幅は1987年のブラック・マンデーを超えて史上最悪の下落です。ことの本質は米国の失業率が上昇し続けていることにあります。(3月3.8%→7月4.3%)
日本株の下落幅が大きかったのは円キャリートレードの巻き戻しと言われています。日銀の利上げに驚いた海外投資家が保有していた膨大な「円売り、日本株買い」ポジションの反対売買を迫られたということです。またオプションの売り手が無限大の損失を回避するため先物を売ったことが日本株の下落に拍車をかけたというのも事実と思われます。
しかし日米共に株価が下落したのは失業率の上昇と雇用統計の予想を上回る悪化というマクロ要因によるというべきでしょう。米国においてはこれまでBAD NEWS IS GOOD NEWSと言われていました。失業率上昇など通常ならBAD NESと考えられる出来事はインフレを抑え込むGOOD NEWSとみなされてきました。インフレが進んでしまうと金利を引き上げねばならず株式市場にとってはネガティブな要因と見なされてきたからです。
ところが8月2日に発表された失業率、雇用統計の悪化というニュースは一転、リセッションを示唆するBAD NEWSだと市場は感じ始めました。今回の株価下落は恐れるべき対象がインフレから景気後退に変わったことを示唆しているとみるのが自然ではないでしょうか。
今後FRBは景気後退を避けるべく政策金利の引き下げを加速すると思われます。これによりソフトランディングを実現できれば良いのですが、米国政治の先行きには黒い大きな雲が沸き上がってきつつあります。民主、共和両党がともに標ぼうしている減税政策、この政策の行く末に見えるインフレがそれです。ただでも大きな財政赤字を抱えている米国が減税を実行し続けるとなると多額の米国債券を発行せざるを得ません。金融市場はどこかで米国債の吸収を諦めることになるでしょう。
Black Monday当時前後、米国のインフレと政策金利の動きをみると今後起きてくるかも知れない出来事のシナリオのように見えます。85年のプラザ合意当時インフレ率は3.63%、政策金利は8.0%でした。翌86年インフレ率は1.94%、政策金利は年末6.0%と大幅に下がっています。ところが87年に入るとインフレ率は再び3.58%に上昇、政策金利も年末7.5%に。そして同年10月20日Black Monday発生。米国インフレ率はその後も上昇を続け90年には5.42%に達しました。
現在世界を取り巻く環境は不動産、貿易、地政学リスクなどに加えて過去最大の世界債務拡大(GDP比98.1% IIF公表)という
状況にあり米国選挙後にはこの数値はさらに悪化の道をたどると見込まれます。
大暴落は今回をもって終了ということにはならないと考えておいた方が良さそうです。
日本株の下落幅が大きかったのは円キャリートレードの巻き戻しと言われています。日銀の利上げに驚いた海外投資家が保有していた膨大な「円売り、日本株買い」ポジションの反対売買を迫られたということです。またオプションの売り手が無限大の損失を回避するため先物を売ったことが日本株の下落に拍車をかけたというのも事実と思われます。
しかし日米共に株価が下落したのは失業率の上昇と雇用統計の予想を上回る悪化というマクロ要因によるというべきでしょう。米国においてはこれまでBAD NEWS IS GOOD NEWSと言われていました。失業率上昇など通常ならBAD NESと考えられる出来事はインフレを抑え込むGOOD NEWSとみなされてきました。インフレが進んでしまうと金利を引き上げねばならず株式市場にとってはネガティブな要因と見なされてきたからです。
ところが8月2日に発表された失業率、雇用統計の悪化というニュースは一転、リセッションを示唆するBAD NEWSだと市場は感じ始めました。今回の株価下落は恐れるべき対象がインフレから景気後退に変わったことを示唆しているとみるのが自然ではないでしょうか。
今後FRBは景気後退を避けるべく政策金利の引き下げを加速すると思われます。これによりソフトランディングを実現できれば良いのですが、米国政治の先行きには黒い大きな雲が沸き上がってきつつあります。民主、共和両党がともに標ぼうしている減税政策、この政策の行く末に見えるインフレがそれです。ただでも大きな財政赤字を抱えている米国が減税を実行し続けるとなると多額の米国債券を発行せざるを得ません。金融市場はどこかで米国債の吸収を諦めることになるでしょう。
Black Monday当時前後、米国のインフレと政策金利の動きをみると今後起きてくるかも知れない出来事のシナリオのように見えます。85年のプラザ合意当時インフレ率は3.63%、政策金利は8.0%でした。翌86年インフレ率は1.94%、政策金利は年末6.0%と大幅に下がっています。ところが87年に入るとインフレ率は再び3.58%に上昇、政策金利も年末7.5%に。そして同年10月20日Black Monday発生。米国インフレ率はその後も上昇を続け90年には5.42%に達しました。
現在世界を取り巻く環境は不動産、貿易、地政学リスクなどに加えて過去最大の世界債務拡大(GDP比98.1% IIF公表)という
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世界の楽園めぐり
ここには、代表が世界各地を訪問した時の旅日記が入っております。
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